◎埋蔵金関連書籍情報コーナー
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わが国の埋蔵金研究の第一人者であった畠山清行氏。畠山氏亡きあとも、数々の埋蔵金関連書籍が発刊されてきたが、その多くが、今も畠山氏の著作をベースにしているというのが現実だ。
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というのも我が国の埋蔵金伝説は、伝承、言い伝えのたぐいがほとんどで、古文書といった実証できる証拠が残っているものはわずかで、多くの「真実」は、歳月の中に埋もれていってしまう性質のものだからなのだ。
徳川幕府の埋蔵金など、かつては、実際におじいさんから聞いたとか、古老の話を聞いたことがあるなど、伝承を口にする方々が実在したが(事実、畠山氏はそういう口伝をもとに調査、取材を行っていた)、いまやそういった証人は全く期待できないのが現状なのだ。
ただ、情報化、ハイテク化時代の中にあって、かつては埋もれてしまっていた貴重な資料が新たに発見される といった、可能性もなきにしもあらず。
また、埋蔵金探しのバイブルといえる畠山氏の著作『日本の埋蔵金』(番町書房 昭和48年)や、同じく『新・日本の埋蔵金』(番町書房 昭和54年)などがすでに絶版(当時の出版社自体が存在しない)となってしまった今、それをベースに新たな新事実で補強した新刊にはそれなりの存在価値があるといえるだろう。
ちなみに、『日本の埋蔵金』は国立国会図書館で閲覧できるはず(かつてはできたが現在は未確認)なので、埋蔵金に関心をお持ちの方は一読をおすすめしておく。貴重本なのでくれぐれも大事に!!
●埋蔵金関連書籍一覧
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※ 『書籍名』(著者/発行元/価格/発行年、備考等)の順です。
- 『埋蔵金物語』 (秋鹿 英←畠山清行著/紫文閣/ /昭和14年)
- 『埋蔵金秘帖』 (角田喜久雄著/光風社/290円/昭和32年)
- 『日本埋蔵金物語』 (小島謙太郎著/第二書房/ /昭和32年)
- 『死海の宝発掘記』 (アナー著 白木茂訳/講談社/ /昭和33年)
- 『黄金の罠』 (角田喜久雄著/同光社/ /昭和34年)
- 『ルポルタージュ埋蔵金物語(一)』(畠山清行著/人物往来社/350円/昭和36年)
- 『ルポルタージュ埋蔵金物語(二)』(畠山清行著/人物往来社/350円/昭和36年)
- 『宝を探せ』 (トーマス・ヘルム著 井上一夫訳/荒地出版社/ /昭和36年)
- 『東京埋蔵金考』 (角田喜久雄著/雄山閣/ /昭和37年)
- 『日本の埋蔵金』 (岡田文夫著/早川書房/ /昭和41年)
- 『日本宝島探険』 (桑田忠親著/光文社/250円/昭和41年)
- 『埋蔵金物語』(歴史選書六)(畠山清行著/人物往来社/ /昭和42年)
- 『海底のスペイン金貨』 (Wagner.Kip著 永井淳訳/集英社/480円 /昭和42年)
- 『世界の埋宝』 (黒沼健著/山王書房/390円/昭和42年)
- 『足もとにあるかもしれない宝の話』/畠山清行著/毎日新聞社/ /昭和43年)
- 『世界の黄金伝説』 (篠田八郎著/大陸書房/480円/昭和44年)
- 『日本の埋蔵金』上下 (畠山清行著/番町書房/850円/昭和48年)
- 『実録埋蔵金35兆円の謎』(水野智之/徳間書店/630円/昭和48年)
- 『世界の秘宝をさぐれ』 (畠山清行、川崎竹一著/学習研究社/ /昭和49年)
- 『宝を捜せ』 (トーマス・ヘルム著 井上一夫訳/角川書店/ /昭和50年)
- 『黄金伝説』 (Moore.Robin ハワード・ジェニングス著 山本光伸訳/角川書店/1200円/昭和50年)
- 『信玄の黄金遺跡と埋蔵金』(泉昌彦著/ボナンザ/1200円/昭和50年)
- 『眠ったままの埋蔵金』 (畠山清行著/青春出版社/ /昭和51年)
- 『世界の宝探し』(エルム入門百科)/中岡俊哉著/エルム新社/ /昭和51年)
- 『日本宝島探険』 (桑田忠親著/日本文芸社/ /昭和51年(41年の復刻版))
- 『謎の埋蔵金列島』 (神谷次郎著/スポーツニッポン新聞出版局/ /昭和51年)
- 『海底の黄金』 (Wagner.Kip著/角川書店/340円/昭和51年)
- 『日本の埋蔵金(新装初版)』(畠山清行著/番町書房/ /昭和51年)
- 『世界の秘宝』 (畠山清行監修/集英社/ /昭和52年)
- 『宝さがしで儲けろ!』 (宝さがし旅の会編/ / /昭和52年)
- 『日本の黄金伝説』(九九の謎・歴史シリーズ11)(/サンポウジャーナル/ /昭和53年)
- 『新安沖海底の秘宝』 (三杉隆敏著/六興出版/ /昭和53年)
- 『世界の財宝』(世界の黄金伝説)(篠田八郎著/大陸書房/1200円/昭和53年)
- 『ソロモンの秘宝』 (高根三教著/大陸書房/ /昭和54年)
- 『新・日本の埋蔵金』 (畠山清行著/番町書房/1300円/昭和54年)
- 『日本の黄金伝説』 (極楽寺三郎著/曙出版/550円/昭和54年)
- 『大発見!世界の秘宝』(宮崎 淳著/立風書房/ /昭和55年)
- 『東京埋蔵金考』 (角田喜久雄著/中公文庫/ /昭和55年)
- 『埋蔵金を捜せ』(びっくり文庫)(畠山清行著/角川書店/ /昭和56年)
- 『赤城埋蔵金四百万両の謎』(水野智之著/新門出版社/ /昭和57年)
- 『海底の秘宝と埋蔵金』(畠山清行著/日本文芸社/ /昭和58年)
- 『日本列島埋蔵金地図』(別冊歴史読本30号)(/新人物往来社/ /昭和59年)
- 『海底の黄金』 (山田道幸著/講談社/ /昭和60年)
- 『帰雲城燃ゆ・白川郷・騎馬軍団と埋蔵金秘話』(生駒忠一郎著/八重岳書房/1200円/昭和60年9月)
- 『一五〇兆円の黄金を探せ』(日本トレジャーハンティングクラブ/大和書房/ /昭和61年)
- 『謎の埋蔵金』 (スピリッツ/ケイブンシャ/ /平成2年)
- 『世界の秘宝マップ』 (平川陽一著/KKベストセラーズ/480円/平成3年)
- 『二〇〇兆埋蔵金の謎を解く』(小林久三著/コスモの本/ /平成4年)
- 『徳川埋蔵金伝説』 (八重野充弘著/二見書房/1500円/平成4年)
- 『あるとしか言えない』 (糸井重里著/集英社/780円/平成5年)
- 『黄金の国ジパングの埋蔵金』(村上直他著/KKベストセラーズ/580円/平成5年)
- 『埋蔵金を発見した!』 (八重野充弘著/KKベストセラーズ/800円/平成5年)
- 『日本の埋蔵金一〇〇話』(八重野充弘著/立風書房/ /平成5年)
- 『徳川埋蔵金の謎を解いた』(要子広堂著/イースト・プレス/1400円/平成6年)
- 『赤城黄金追跡』 (水野智之著/マガジンハウス/1300円/平成6年)
- 『黄金伝説』 (小林久三著/世界文化社/ /平成6年)
- 『ミステリアスPART五謎学・失なわれた財宝』(M・グラシュコ著 大出健訳/大日本絵画/ /平成6年)
- 『世界史・呪われた秘宝ミステリー』(桐生 操著/日本文芸社/ /平成6年)
- 『一攫千金!黄金秘宝伝説』(八重野充弘著/KKベストセラーズ/490円/平成6年)
- 『「もしも…」がズバリ!わかる本・もしも、あなたの庭から埋蔵金が出てきたら…?!』(素朴な疑問探究会編/河出書房新社/480円/平成6年)
- 『徹底推理埋蔵金』 (別冊歴史読本95号)(新人物往来社/1500円/平成7年)
- 『世界の難破船と財宝地図』(ナイジェル・ピックフォード著/山と渓谷社/3800円/平成7年)
- 『日本の埋蔵金』(中公文庫)(畠山清行著/中央公論社/960円 /平成7年)
- 『アメリカ黄金伝説』 (エミル・C・シュールマカー著/秀英書房/1800円/1996年9月23日)
- 『幻の埋蔵金 佐々成政の生涯』(生駒忠一郎著/KTC中央出版/1500円/1996年10月14日)
- 『埋蔵金を掘り当てる!誰でもできる宝探し実践マニュアル』(八重野充弘著/ワールドマガジン社/1165円+税/1996年10月)
- 『海賊大将軍の埋蔵金 村上武吉の生涯』(生駒忠一郎著/KTC中央出版/1500円/1997年11月7日)
- 『徳川幕府の埋蔵金 小栗上野介忠順の生涯』(生駒忠一郎著/KTC中央出版/1500円/1998年5月)
- 『豊臣秀吉の埋蔵金を掘る』(鈴木盛司著/新人物往来社/2400円+税/1998年8月10日)
- 『図解財宝発掘マニュアル』(時實雅信著/同文書院/1300円+税/1998年12月25日)
- 『黄金結界 ~甲州埋蔵金の謎を解く~』(加門七海著/河出書房新社/1700円+税/1999年12月2日初版発行)
- 『埋蔵金の掘り当て方』 (非日常研究会著/同文書院/1300円+税/1999年12月8日初版発行)
- 『RIPTIDE 海賊オッカムの至宝』(ダグラス・プレストン&リンカーン・チャイルド著 宮脇孝雄訳/講談社/税別2300円/2000年7月28日第1刷発行)
- 『徳川埋蔵金検証事典』(川口素生著/新人物往来社/税別2500円/2001年1月15日初版第1刷(ISBN4-404-02897-0)
- 『モーセの秘宝を追え!』(ハワード・ブルム著 篠原慎訳/角川書店/税別819円/2002年8月25日初版発行/ISBN4-04-290801-2)
- 『徳川埋蔵金研究会・珈琲音夜話・赤城山に眠る財宝その謎を解くのは…・前編』(東栄義彦著/思門出版会/ /2002年9月/ISBN4-921168-11-3)
- 『蒼海の財宝 TREASURE OF THE DEEP』(H.エドワーズ著/井谷善恵編訳/東洋出版/税別1500円/2003年7月30日第1刷発行/ISBN4-8096-7446-0)
- 『幕末の深い眠りから覚めるか 幕府の埋蔵金』(太田利政著/新風舎/1700円/2003年11月25日初版発行/ISBN4-7974-3114-8)
- 『埋蔵金・邪馬台国の謎解きに挑戦 ミステリーハンティング』(橘高 章著/歴研(歴史研究会)/税込840円/2004年10月28日第1刷/ISBN4-947769-42-4)
- 『世界ミステリー 謎をひも解く ありかを明かす! 財宝地図』(黄金伝説研究会・編/竹書房/税込500円/2006年11月7日初版発行/ISBN4-8124-2902-1 C0076)
- 『見捨てられた財宝 百兆円』(鬼木和彦著/新風舎/本体1500円/2006年12月15日第1刷発行/ISBN4-289-00492-X C0095)
- 『日本の埋蔵金1 キッドの宝』(畠山清行著/たんさく/税込840円/2007年1月24日初刷/ISBN978-4-903288-02-4)
- 『ほんとうにあった怖い話コミックス 怪奇心霊語り 埋蔵金発掘の怪奇編』(加門七海、JET著/朝日新聞社/税別390円/2007年10月1日新版第1刷発行/ISBN:978-4-02-275201-7)
- 『謎解き紀行 徳川埋蔵金 上 かごめの歌に隠された秘密』(山中廣稔著/随想舎/税別1500円/2007年10月25日第1刷発行/ISBN:978-4-88748-165-7)
- 『埋蔵金伝説を歩く ボクはトレジャーハンター』(八重野充弘著/角川学芸出版/税別1500円/2007年11月30日初版発売/ISBN978-4-04-621305-1)
- 『日本の埋蔵金2 武田の宝 上』(畠山清行著/たんさく/税込840円/2007年12月10日初刷/ISBN-978-4-903288-03-1)
- 『日本の埋蔵金3 武田の宝 下』(畠山清行著/たんさく/税込840円/2008年1月15日初刷/ISBN-978-4-903288-04-8)
- 『日本の埋蔵金4 義経の宝』(畠山清行著/たんさく/税込840円/2008年2月12日初刷/ISBN-978-4-903288-05-5)
- 『闇の日本史 消えた埋蔵金伝説』(フロッシュ編集/大洋図書/税込420円/2008年4月5日第1刷発行/ISBN978-4-8130-5117-6)
- 『日本の埋蔵金5 海賊の宝』(畠山清行著/たんさく/税込840円/2008年6月10日初刷/ISBN-978-4-903288-06-2)
- 『図解 世界の財宝ミステリー』(世界博物倶楽部著/PHP研究所/本体952円+税/2009年1月30日第1版第1刷発行/ISBN-9784569705460)
- 『廣済堂文庫 全国「隠し財宝」完全マップ』(造事務所編著/廣済堂あかつき/税別648円/2009年4月30日第1版第1刷発行/ISBN978-4-331-65451-4)
- 『謎解き紀行 徳川埋蔵金 下 会津の地に眠る一千万両発見』(山中廣稔著/随想舎/税別1800円/2009年10月25日第1刷発行/ISBN978-4-88748-166-4)
- 『闇に消えた日本の黄金ミステリー 発掘!埋蔵金伝説99』(ジェイビー編著/コスミック出版/定価500円/2010年2月22日発行/ISBN978-4-7747-5327-0)
- 『埋蔵金発見!解き明かされた黄金伝説』(八重野充弘著/新人物往来社/本体1500円+税/2010年8月20日第一刷発行/ISBN978-4-404-03900-2)
- 『ニッポン埋蔵金伝説 黄金の国ジパングに眠る財宝300兆円!!』(知的発見!探検隊編著/イースト・プレス/本体476円+税/2012年8月10日初版第1刷発行/ISBN978-4-7816-0795-5)
- 『KAWADE夢文庫 金 知っておきたい大切な知識』(博学こだわり倶楽部編/河出書房新社/本体543円+税/2012年12月1日初版発行/ISBN978-4-309-49857-7)
- 『最新版・日本埋蔵金地図 Vol.1』(八重野充弘著/戦略参謀研究所TeM出版事業部/本体940円+税/2013年10月2日初版発行/ISBN978-4-907455-06-4)
- 『日本の埋蔵金6 徳川の宝』(畠山清行著/たんさく/本体800円+税/2015年4月21日初刷/ISBN-978-4-903288-07-9)
- 『日本全国「隠し財宝」完全マップ』(造事務所編集 八重野充弘監修/メディアパル/本体680円+税/2015年7月1日第一刷発行/ISBN-978-4-89610-153-9)
- 『埋蔵金の研究』(橘高 章著/たんさく/本体800円+税/2016年4月21日初刷発行/ISBN-13:978-4903288093)
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※現在入手可能な「埋蔵金」関連書籍をお探しなら、総合型オンライン書店で有名な『amazon』の検索が
結構便利です。「GO!」ボタン横の白い枠内に「埋蔵金」というキーワードを入れて「GO!」ボタンを押すだけ。
購入可能な書籍一覧を表示してくれます。探したい「書籍名」を直接入れて検索することももちろん可能です。
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『埋蔵金の研究』
ちなみに合資会社たんさくによる『日本の埋蔵金』復刻シリーズ、第一弾は、「キッドの宝」(2007年発行)で、以下、第二弾「武田の宝(上)」(2007年発行)、第三弾「武田の宝(下)」(2008年発行)、第四弾「義経の宝」(2008年発行)、第五弾「海賊の宝」(2008年発行)、第六弾「徳川の宝」(2015年発行)と発行されてきました。
今回取り上げた「埋蔵金の研究」は、これまでの合資会社たんさくからの発行による『日本の埋蔵金』の復刻版シリーズとはまったく異なり、橘高さんが、これまでの埋蔵金探索に係ったことで得た情報を一部公開する、といった形となっています。実際に活動されている探索者にとっては、ヒント集ともなる本書ですが、これから埋蔵金の探索を始めようかという“初心者”の方々にはお勧めしません。ある程度活動を行った上で壁に突き当たってしまったら読む、そのような書籍だと考えたからです。
ちょっと気になるのは、巻末に「スコップを置く」と書かれていること。徳川埋蔵金の探索にはケリをつける、という意味なのか、埋蔵金探索全般から離れてしまうのか、はたまた年齢のこともあるかと推測されますが、「スコップを置く」は気になるフレーズですね。
ここは現場のフィールドワークからは一線を離れ、今後は更なる資料の渉猟にご活躍するご決意だと勝手に捉えさせていただきました。益々のご活躍を。
『日本全国「隠し財宝」完全マップ』
この書籍、巻末ページのことわり書きにもある通り「本書は、2009年に廣済堂あかつき株式会社から刊行された『全国「隠し財宝」完全マップ』に加筆・修正し再編集したものです」。要は改訂版みたいなものですが、発行元が異なるので一応“新刊”という扱いになりましょうか。
それはともかく、書名の通り、日本全国各地の埋蔵金情報を、見開き2ページ単位で県ごとに埋蔵金ポイントを紹介していくというスタイル。一都一道二府四十三県ですから、合計47件を紹介しているかと思いきや、愛知県のみ2件取り上げていて全48ポイントの紹介となっています。また、逆に1県に1件というスタイルをとったことから、けっこう有名どころの埋蔵金スポットが落選してしまっているところがあるのもご愛用ということで。
まあ固いことは言わずに、県ごとにパラパラと読み切れるのは、それはそれでありかもしれないですね。書名にもある通り、「マップ」ですから全件埋蔵ポイントの地図がついているのが特徴です。また、4段階ランクで「見つかる度」と「楽しみ度」なんていう初心者向けの目安なども付いておりますが、良くあるこの手の書籍の定番、埋蔵金探索のハウトゥー記事などはほとんどありませんので、その辺はご留意を。
話題のネタを探している方などにお勧めでしょうか。トレジャーハンターの皆さまなら、すでに廣済堂あかつき版をお持ちでしょう。
『日本の埋蔵金6 徳川の宝』
ただ今回の内容は、従来までの「日本の埋蔵金」をベースにしたものではなく、その「日本の埋蔵金」という書籍の元となった、畠山氏の最初の埋蔵金関連書籍、「埋蔵金物語」の復刻版でした。この書籍は、昭和14年8月に、畠山氏が“秋鹿 英”のペンネームで紫文閣という東京の出版社から発行した、わが国初といえるまさに幻の埋蔵金関連書籍です。
「日本の埋蔵金」ですらネットオークションの影響からか、どんどん高騰して手に入りにくなってしまったというのに、さらにその元となった書籍ですから、よほどのことがない限り原本を読む機会は無いといえるでしょう。それを復刻してくれたのですから、「たんさく」さんに感謝、です。
内容は前半分が書名タイトルの徳川埋蔵金に関する「赤城に眠る三億五千万両」、そして「結城春朝の埋蔵金」を間に挟んで、同じ徳川関連でも再末期、幕末のどさくさに起こったという「お行の松の埋蔵金」で締めくくり。“3つのストーリー”仕立てという構成になってます。もともとこの復刻シリーズ、総ページ数が80ページ前後と少ないので、一気に読めてしまう、イコール物足りない! のはご愛敬でしょうか。それでも畠山さんの実際の取材を元にした“物語”にどんどん引き込まれてしまうことは間違いないはず。
埋蔵金ファンを自認する方々なら“記念碑的な一冊”を、ぜひともご一読あれ。
『金 知っておきたい大切な知識』
金そのもののお勉強をしたってあまり意味がないのでは、そう思う方も多いかもしれませんが、ま、それはそれ。これまでに人類が獲得した金の総量がオリンピックプール○杯分だとか、海水には○億トンの金が溶けているだとか、良く耳にする金に関するトリビアから、プレストンウッズ体制と金の関係など、金融面での金とのかかわりあいなど、様々な知識を一冊にまとめてくれているとても便利な書です。
情報は日々新しくなっています。十年前、二十年前に得た知識が実はもう変わってた、なんてことも往々にしてあります。「えっ、今はそうなの」と己の時代遅れぶりに気がついちゃったりするわけですね。古い資料はもちろんとても重要ですが、最新知識も吸収、インプットし続けないと“見当違いの探索”なんてことにもなっちゃう可能性があります。
ちなみに、今日までに人類が得た金の総量は16万5千トン、オリンピックプール3杯半になったそうです。また、世界一の産金国は今や南アフリカではなく、中国になったそうです。2007年に中国がトップに躍り出てさらに増加の勢いといいます。2010年の産金量は350.9トン。ちなみに2位はオーストラリアで260.9トン、3位はアメリカの233.9トン、4位ロシア、そして5位にやっと南アフリカが入り、6位ペルー、7位インドネシア、8位ガーナ、9位カナダ、10位がカザフスタンという順位になっているそうです。
『最新版・日本埋蔵金地図 Vol.1』
おなじみ“徳川埋蔵金”を始め、“旧日本軍の巨宝”、“海賊キッドの宝”、“武田信玄の軍用金”、“尾張徳川の埋蔵金”それぞれのスポットでの探索状況、そして現状報告などがつづられている。ただ、例によってこの手の書籍での定番といえる「あと一歩!」までで終わっており、発見記ではないのが残念だが、これまでほとんどの探索者が秘密主義を取ってきたことを考えると、ここまでオープンに進行状況なり、情報を公開しているところにこの書の価値があるといえるだろう。
それもそのはず、八重野さんは埋蔵金探索にあたって「実際に埋蔵金を発見した場合、必ず公表して所有権については法にゆだねる」とういうポリシーを持っているというからこそ、ここまでオープンにできるのだろう。日本トレージャーハンティング・クラブに集まる方々もほとんど手弁当で発掘プロジェクトに参加、協力していることうかがえる。
書籍の内容自体は、“週刊実話”2011年12月15日号から翌年の6月14日号までと、2012年12月20日号から翌年の6月13日号までに連載された八重野さんの埋蔵金記事をベースに、特に有望なスポットを厳選して加筆、掲載している。注目は、やはり八重野さんも言っているとおり、全国レベルでは初公開といえる“尾張徳川家の埋蔵金”の情報だろう。
そしてもう一つこの書籍で注目したのは、これがもともとはパソコンや、スマホなどで読める“電子書籍”を前提として作られたことで、発行部数の限られる埋蔵金関連書籍などにとっては電子書籍はとても相性の良いメディアなのではないだろうか。書籍版は、電子版での反響なりを見て発行部数が見込めることがわかれば本格的に出版すればいい、というスタイルだろう。あなたもご自身の探索成果を発表してみてはいかがでしょうか。
ちなみにこの書籍の発行元である“トータルEメディア出版”のパンフレットによれば、10万円(税別)で50冊の単行本版の自費出版と電子ブックが作れるそうです。書籍版は、ちゃんとISBNコードも取ってアマゾンで販売されます。ただし当方が購入した書籍版の作りは、裁断が甘かったり、表4(裏表紙)にプリントミスがあってシールで隠していたり、と自費出版のレベルというのはこんなものなのでしょうか、と思ったことだけは付け加えておきます。
『ニッポン埋蔵金伝説 黄金の国ジパングに眠る財宝300兆円!!』
編著が「知的発見!探検隊」というちょっと軽め目の著者名なのが引っ掛かったが、埋蔵金の“成り立ち”(!?)から、我が国の3大埋蔵金の話題、そして日本各地の埋蔵金スポットを次々と紹介、そして締めはトレジャーハンター入門、と実に盛りだくさん。そう、この新刊は良くある埋蔵金入門書の新刊なのだ。
まあ、入門書といえばけっこういい加減な造りの書籍の多い中では、巻頭で我が国のトレジャーハンターの第一人者、八重野充弘さんを取材してたり、細かに写真や図版を掲載するなど、きちんとした造りで入門者にはおすすめできる内容になっている。
といってもあくまで入門書は入門書、ネットで調べれば簡単に分かる程度の内容しかない、という点は致し方ないが、ひとつ良心的だな、と思ったのはこの書籍の価格。何とワンコイン、税込みで500円で買えるのだ。昨今の“入門書”はワンコインが目安となっているのでしょうか。
『埋蔵金発見!解き明かされた黄金伝説』
そんな状況で光るのがフィールドワークこそ命、を実践する八重野充弘さんならではのこの著作といえる。我が国唯一といえる同好の士の集まりである「日本トレジャーハンティングクラブ」の会長さんであり、かつ埋蔵金関連書籍を数々出している八重野充弘さん。さすがに「ここにあるぞ!」的な埋蔵金のハウツー本なんかじゃなく、その先、実際に自らが体験した埋蔵金探索の“現場”をいくつか例を挙げて詳解してくれている。
角川学芸出版から発行された前作『埋蔵金伝説を歩く ボクはトレジャーハンター』からすれば“HOW TO”的な部分もだいぶ増えたが、それでも実際の埋蔵金探索現場での緊張やドキドキ感が伝わってきて、「自分もひとつ!」の気分にさせてくれることだろう。既出の話もいくつか出てきてしまうが、それもご愛敬。
ちなみに、埋蔵金の資料本的なものを期待するのは筋違い、あくまでフィールドワークへの誘いと考えていただくのがいい。その手の「ここに行け!」「ここにある!」的な書籍はいくらでもあるのだから。
話が横道にそれるが、発行元が新人物往来社というのも“箔”というものだろう。新人物往来社といえば、言わずと知れた歴史関連書籍の老舗だ。ちなみにその前身は1952年に創業した“人物往来社”で「歴史読本」の発行元として、歴史関連書籍の発行元の雄としての地位を築き上げてきた。ただ現在は角川グループの一員となってしまっている。
まあそんなことはどうでもいいのだが、人物往来社は畠山清行先生の『ルポルタージュ埋蔵金物語』の発行元だった、というのは覚えておく必要があるだろう。我が国の埋蔵金関連書籍のバイブルといえる『日本の埋蔵金』の前身といえる作品を発行してくれたのがこの出版社なのだから。
とうとう書籍の中身はいっさい紹介せずじまいとなってしまったが、一読をおすすめしたい一冊、としておく。間違いはないはず。
『闇に消えた日本の黄金ミステリー 発掘!埋蔵金伝説99』
だいたい1千兆円もの借金を営々と積み上げてきてしまった某元政権政党と行政府がそんなに簡単に“発掘”できるように隠蔽するわけないじゃないですか。まずは“埋めた側”の行動を徹底的に調査しなければ、闇雲に穴掘ったって埋蔵金が出てくるわけじゃなし…。
それにしても“埋蔵金”などと名付けたのは誰だか知りませんが、絶妙なたとえでしたね。もともとは国民の血税、埋蔵金だなどと勝手な呼び方しやがって、と当初は思っていたのですが、今になってみれば…感心しました。名付け親さん。
話が横道にそれましたが、本物の埋蔵金の世界では未だに“埋蔵金”のブームが続いているようです。それも従来のように埋蔵金研究者による成果発表型の書籍ばかりではなく、いわゆる“入門書”も数多く発行されているのが特徴でしょうか。ネットでちょっと検索をかけていただければお分かりの通り、バイブルとも言える畠山清行氏の書籍がなんと数千から数万円もの値段が付けられている現状ですが、本を読むだけで埋蔵金が出るなら苦労は無し。ちょっと異常な値上がりなのではないでしょうか。それはともかく、前回紹介した『廣済堂文庫 全国「隠し財宝」完全マップ』もそうですが、今回発行された『闇に消えた日本の黄金ミステリー 発掘!埋蔵金伝説99』もとりあえず値段が手頃なのがいいです。知の情報は国民すべての財産、ただで、とはいいませんが、それでぼろ儲けしようなどというのは日本人にはなじみませんね。
そういえば最近、某有名番組で「応仁の乱」の時期の古文書に800万円とかの値段が付けられておりました。広く一般に古文書の大切さをアピールするには良い機会だったとは思いますが、それはあくまで“歴史的な価値”であって、本来は国民すべてが共有できるようにするべき知の財産なのではないでしょうか。
またまた脱線。この『闇に消えた日本の黄金ミステリー 発掘!埋蔵金伝説99』は、これまで多くの埋蔵金研究者が調べ上げてきた成果の概要を一冊にまとめあげた入門書としては手頃で、その割に内容もしっかりしている一冊ではないでしょうか。当WEBサイトの情報も参考にしていただいたみたいです。埋蔵金に興味を持たれた方、そして歴史ブームでちょっと人とは違う歴史の楽しみ方をしたい方にお薦めです。
『廣済堂文庫 全国「隠し財宝」完全マップ』
それでちょっと気になったのでさらにあれこれ調べてみたが、関ヶ原の闘い以降、いわゆる“勝ち組”には埋蔵金の伝説がほとんど残されていないことを改めて確認した。やはり埋蔵金として遺されるには“落城”であったり“敗走”であったり、と退っ引きならない事情がなければ成立しなかったということだ。“当たり前田のクラッカー”ですな。
だた「埋蔵」という行為自体は資産保全のために日常茶飯で行われていたわけで、何らかの事情でそれを活用する機会を逸失してしまう事態にならない限り、その後取り出されて活用されてしまった、ということだろう。廃藩置県で各藩の資産がどうなったのかも調べてみたいテーマですが、そこまで手が回らない…。
書籍紹介からどんどんかけ離れてしまいましたが、「宮城県で…」のフレーズつながりで、ここで紹介するのは、現在の一都一道二府四十三県ごとに埋蔵金情報を各県1件ごとに掲載するユニークな一冊だ。東京都だけは2件取りあげているので全国48ヵ所の埋蔵金スポットを掲載している。ちなみにこちらの書籍でも宮城県ページは仙台藩がらみの埋蔵金ではなく「炭焼き籐太の埋蔵金」が紹介されている。また、メインの埋蔵金情報は全都道府県ごとに1件だが、カコミでさらに数点のミニ情報をプラスしている。そのコーナーの宮城県の部分も当WEBサイトと同じ情報が3件掲載されておりますな。参考にしていただいたようでなによりです。
というわけで、文庫サイズと税別648円という手軽なお値段、そして歴史的な背景、人物紹介なども盛り込んでますので「埋蔵金ってブームだし、ちょっと気になるよね」という方、手に取ってみてはいかがでしょうか。ただし当ウェブサイトの常連さんには“周知の事実”ばかりだと思いますので特にお勧めはしません。悪しからず。
『謎解き紀行 徳川埋蔵金 下 「会津の地に眠る一千万両発見」』
副題につけられた「会津の地に眠る一千万両発見」からも分かるとおり、いよいよ具体的な埋蔵場所の謎解きが展開される下巻ですが、独自の山中ワールドは今回もとどまるところを知らず。興味深い“研究”の数々が紹介されていますが、その中でも上巻の「かごめの歌」同様にキーワードとなっているのが「会津磐梯山の歌」と「小原庄助さんの歌」なのだという。
ちなみに謎解きの紀行は「岡崎城と徳川家康の謎」に始まり、「駿府城に秘められた謎」「久能山東照宮に込められた謎」「川越喜多院に秘められた謎」「江戸城に秘められた謎」「北斗第六星・水戸城の謎」「日光東照宮の謎」「天海上人の眠る慈眼堂の謎」「家光公の眠る大猷院の謎」「北斗の道第八、会津の謎」と続き、著者の謎解きを追いかけるだけでも充分に楽しめる内容かもしれない。
もちろん、謎解きに賛同するも良し、逆に自分なりの解釈で検証するも良し。それは「今後、読者の中から新たな謎解きに挑む方が現れ、これからの物語の解釈を次の段階に発展させてくれるであろうことを心から願っています」と言う著者の山中さんの本望でもあるはず。
ご一読を。
『図解 世界の財宝ミステリー』
判型もB5サイズ(週刊誌のサイズ)と大きめなので、視覚的にも楽しめる。といってもやはりこの手の書籍は内容が命。一項目で見開き2~4ページと情報量がちょっと少ないのは惜しいが、内容自体はよく分かるように解説されているので、世界中の埋もれた財宝の概要をてっとり早く知りたい、という方には狙い通りの一冊と言っていいだろう。
ちなみに徳川埋蔵金の項目では、本邦の第一人者であり日本トレージャーハンティングクラブの八重野充弘さんが登場して、従来の一般的な視点とはまた違ったポイントをあげているのが興味深い。
埋蔵金関連の著作を数々出している八重野さんには、次回はその徳川埋蔵金の“新研究”を題材にした一冊をお願いします。と、話が脱線してしまったが、このように情報量自体は多くはないかもしれないが、要点は充分に詰まっているので、世界もテリトリーだよという方はぜひとも蔵書に加えてみてはいかがでしょうか。
掲載しているポイントの一部をあげておくと、国内では徳川埋蔵金、秀吉の多田銀山、結城家の財宝、武田の黒川銀山、キャプテンキッドの宝、沈船ナヒモフ号。海外ではロマノフ王朝の宝、チンギスハンの墓、山下財宝、沈船南海1号、ナポレオンの戦利品、キリストの聖杯、テンプル騎士団の財宝、沈船アトーチャ号、潜水艦イ52号の積荷、インカの財宝などなど、全部で39ヵ所を取り上げている。
『埋蔵金伝説を歩く ボクはトレジャーハンター』
で、その八重野さんが埋蔵金探索の虜になったいきさつや、かつて畠山氏の助手として実際に埋蔵金探索を行った“現場体験”、そして自らチームを率いて探索に当たった天草四郎の秘宝探索プロジェクトの“顛末報告”などを、一人の埋蔵金探索者として淡々と書き記すというユニークな書籍が発行された。
埋蔵金関連書籍といえば、時代考証などから入って一見客観的に構成されているようでいて、なんのことはない、いかに“埋蔵金の秘密を解いた”か、いかに“謎を推理した”か等々、実は自説を展開するだけの著作が多かったのだが、本書が貴重なのはまさに探索の現場に一緒にいるかのような臨場感を持って読み進められる、というスタイルをとったところだろう。そこにこれまで多く発行された埋蔵金関連書籍とは違う面白さがある。
ちなみに“天草四郎の秘宝”の項は八重野さんがかつて『産報デラックス 99の謎 歴史シリーズ』などで詳細に報告していたものとあわせて見るとさらに興味深かったり、はたまた、“永井宿の埋蔵金”の項では、畠山氏の『新・日本の埋蔵金』(畠山清行著/番町書房)も読んだ方なら、二人の探索者の目線の違いになどにも引きこまれることだろう。
いずれにせよ、埋蔵金探索の実際の現場を“当事者”のことばで詳しく知る機会がもてたことは、とてもありがたいといえる。もしもこれから埋蔵金探索を始めてみたい、とお考えの方がいたとしたら是非とも本書を読むことをお勧めしたい。ただただ“埋蔵金ガイド”的な書物を読んだだけで、闇雲に探索に出かけることの無意味さがよく分かっていただけると思う。
『謎解き紀行 徳川埋蔵金 上 かごめの歌に隠された秘密』
「かごめの歌」だけではなく、もう一つ、「きんざぶろうの歌」というのもあって、ともにあの徳川三代将軍家光が作ったのだという。この事自体は多くの歴史研究家も認めはじめており、定説となりつつあるらしい。ただし「きんざぶろうの歌」といわれてもご存じない方がほとんどだろうと思う。それもそのはず、歌の中身は秘密を解く上で大変重要なのだが名称の方は不詳で、とりあえず著者が便宜的につけた、とのこと。さらに驚くのはもうひとつ、第三の歌まであって、その三つがセットで埋蔵金の秘密の全貌が解き明かせる、というのだ。
多かれ少なかれ、埋蔵金関連書籍というものは著者の“主観”が入ってしまうのは仕方のないことだが、ここまでストレートに独自の解釈を展開した書籍は珍しいと言える。しかし、ただ勝手に理由づけているのではなく、多くの関連情報を紹介した上で持論を展開しているので、その事跡の部分だけでもこれから徳川関連の埋蔵金の探索をはじめようという方には格好の入門書といえないこともない(ただし世に言う“徳川埋蔵金”は幕末の話なので、そこら辺は混同されないように、蛇足ながら)。
本書の副題にある“謎解き紀行”の“紀行”の意味は、北は日光から、西は京都まで広がるという“北斗”の秘密を追ってひとつひとつを検証した著者の探索行からだが、この書を読んだ方が自らもそのひとつずつ追いながら、著者の解析に賛同するもよし、はたまた“アラ”を探すもよし、いずれにせよ自分の目で確かめに出かけてみたくなる書だ。
『ほんとうにあった怖い話コミックス 怪奇心霊語り 埋蔵金発掘の怪奇編』
ちなみに四話が収録されており、その第一話(第一夜)が埋蔵金関連のストーリー。「加門先生にテレビ番組制作会社から埋蔵金探し協力の依頼が……。しかし、待っていたのは埋蔵金にまつわる数々の怪奇現象だった」(コミックスの帯書きより)とまあ、内容はよくありそうなストーリーで単純にコミックスとして息抜きをしていただければいいと思うが、『黄金結界』ではほとんど表面に出てきてなかった加門さんの人となりが良く分かるのが収穫か。
ま、カタイ話は抜きにして、たまには探索で張りつめた頭を休めてはいかがでしょうか。
『日本の埋蔵金1 キッドの宝』
ちなみに1995年(平成7年)に、中央公論社から中公文庫の1冊としてダイジェスト版として復刻したのだが、それすらなかなか手に入らなくなってきている。
で、このほど合資会社“たんさく”というところが、この「日本の埋蔵金」の中から“キッドの宝”と“黒部渓谷佐々成政の秘宝”の2編をまとめて1冊にした書籍を発行した。オリジナルの「日本の埋蔵金」では下巻で取り上げられていた『キャプテン・キッドと宝島』と『黒部渓谷の秘宝』の2編のほぼ完全な復刻版だ(本文中には“一部変更あり”の注意書きが入っている)。2編ではちょっと物足りなくもないが、値段が値段だけに贅沢は言ってられないか…。
また、“「日本の埋蔵金」はすでに持っているから関係ない”という人にもちょっと注目して欲しいのは、“キッドの宝”編では、1939年(昭和14年)に畠山清行氏が“秋鹿 英”の ペンネームで紫文閣から発行した幻の著作“埋蔵金物語”からも同じように「キャプテン・キッドの宝」編を収録していることだ。「日本の埋蔵金」の『キャプテン・キッドと宝島』との違いに興味が湧くはず。
まそれはともかく、タイトルに“日本の埋蔵金1”とあるので、今後続編として“2”、“3”…と続いて復刻されることを期待したい。
『世界ミステリー 謎をひも解く ありかを明かす! 財宝地図』
- 『世界ミステリー 謎をひも解く ありかを明かす! 財宝地図』(黄金伝説研究会・編/竹書房/税込500円/2006年11月7日初版発売/ISBN4-8124-2902-C0076)
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その名もズバリ“財宝地図”を名乗った埋蔵金関連書籍が発行されました。ただし、国内の埋蔵金に関する情報は巻末に、結城、徳川、秀吉の三大埋蔵金や武田氏に関連したものが若干載っている程度ですので、国内をテリトリーとされている方はあわてて注文してしまわないようにご注意を。また、海外でも中心となっているのは“沈没船”の財宝情報で、ほぼ前半スペースの全てがさかれていて、いっそのこと“沈没船の財宝”を書名にした方がピッタリだったのではないでしょうか。
まあ、それでも後半は、ナチスの隠し財宝やインカ帝国の消えた黄金、モンゴルに眠るチンギス・ハーンの黄金、などなど、世界中の有名な黄金伝説は全て網羅しました! という感じで“超入門書”としては概要が一冊でつかめてしまうので、便利といえば便利な書籍なのは確かでしょう。
とはいっても、ちょっと気になってしまうのは“財宝地図”の書名ですね。さすがにそれはちょっとオーバーなのでは。沈没船の位置情報が詳しいのは、事故当時の資料などが保険会社にちゃんと残っているからで、それ故、沈没船からの財宝引き揚げに関しては海外では“事業”として成り立っているくらい。それに対して、いわゆる“○○王の財宝”のたぐいの後半は、それこそ“ロマノフ王朝の金塊”のページで使われているのはただのロシア全土の地図! みたいな扱いになってしまうのは仕方ないことでしょうね。
ストレートに“世界の沈没船地図”と“世界の財宝話一覧”とお考え下さい。
『埋蔵金・邪馬台国の謎解きに挑戦 ミステリーハンティング』
で、本題のこの書籍ですが、歴史研究会という同好の士の集まりも運営する合資会社歴研というところから発行された、埋蔵金関連書籍では珍しい“ナビ本”です。埋蔵金探しを始めたばかりという方にも分かりやすく、というスタイルをとってはいますが、よくある“埋蔵金ガイド”ではありませんのでご注意を。これまでは資料の上であれこれ探索してきたが、そろそろ“現場”にも行ってみたい、というレベルのトレジャー・ハンターの方々のリクエストにこそピッタリな書籍でしょう。なかなか表に出る機会の少ない“秘蔵図面”や資料をもとに橘高さんが謎解き、解明、解説してくれるこの書を手に“現場”に出てみてはいかがでしょうか。
対象としているのは、(1)武田、(2)徳川、(3)豊臣、のおなじみの埋蔵金の前半部分、(4)クフ王の埋宝、(5)古事記、(6)邪馬台国と後半は橘高さんオリジナルの歴史の謎解きが展開される“読み物”的な部分で構成されています。こちらは歴史の“通説”というものに飽き足らない思いをしている方は要注目かもしれません(ただし全50ページというページ数にこれだけの内容を詰め込んでいますのでかなり“飛ばし気味”なのは致し方ないかも…)。
それでは、本書を手に“現場”へ!といいたいところですが、橘高さんも書いております。ほとんどのポイントは山中や渓谷など、大自然のただ中です。都会人が思いもつかないような多くの危険が待ちかまえていることを肝に銘じて、また、あくまで自己責任の上で慎重な行動をお願いします。特に「闇雲に穴を掘ることだけは絶対に避けていただきたい!」というのがこの世界の“先達”に共通する思いです。安全に楽しく、そして“知的”に楽しみましょう。
『蒼海の財宝 TREASURE OF THE DEEP』
- 『蒼海の財宝 TREASURE OF THE DEEP』(H.エドワーズ著/井谷善恵編訳/東洋出版/税別1500円/2003年7月30日第1刷発行/ISBN4-8096-7446-0)
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1985年にマレー半島の先端から南シナ海に広がるリアウ諸島付近で、1752年に難破したオランダ商船、ヘルダーマンセン号を引き上げ、約16万点の陶器類と126点の金の延べ棒を回収。1999年にはインドネシアのスマトラ島とジャワ島の間のスンダ海で沈没したテクシン号(大型中国船)を発見。なんと約35万点にも及ぶ中国製磁器を引き上げて世界をアッと言わせた、沈船トレジャーハンターとして世界的に有名なキャプテン・マイケル・ハッチャー氏。そのハッチャー氏の活動の記録といえるのがこの『蒼海の財宝』だ。
イギリスで生まれ、決して恵まれた環境とはいえなかった少年期、オーストラリアへと渡った頃のエピソードからキッチリおさえた本書は、ハッチャー氏が何故沈船トレジャーハンターへと向かうことになるのか、著者のH.エドワーズの“筆力”により一気に読んでしまえる物語に仕立てあげられている。
沈船トレジャーハンターと呼ばれる人たちの実態も良く分かる。海底の財宝にも興味を持っている方には是非ともお薦めの一冊。
後ろで紹介する『幕末の深い眠りから覚めるか 幕府の埋蔵金』と発売時期が前後してしまったが、ハッチャー氏の来日を機会にあらためて紹介することにした。
『幕末の深い眠りから覚めるか 幕府の埋蔵金』
- 『幕末の深い眠りから覚めるか 幕府の埋蔵金』(太田利政著/新風舎/1700円/2003年11月25日初版発行/ISBN4-7974-3114-8)
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1999年の12月に『山梨県南巨摩郡増穂町で発掘を進めている地元グループが、徳川埋蔵金の一部とみられる小判1枚を発見?』とのニュースが流れ話題を集めた“舂米(つきよね)”の埋蔵金。
その後、動きがまったく伝わってこなくて「あぁ、やはりね」と分析する方も多かったのでは。かつて“著名人”の大がかりなバックアップを仰いだり、出資金形式で一般から発掘費用を集めたり、といろいろと話題の多いことでも有名な埋蔵金ですが、それはともかく、ここに紹介する書籍は舂米の埋蔵金を発掘するグループに近い著者が詳細にまとめ上げた“発掘の全容”といえる書籍。
埋蔵金に詳しい方には舂米の現況報告として、また、最近埋蔵金に興味を持ち始めた方にとっては、ほとんど一般に公開されることのない“埋蔵金発掘事業”の一つの実態として興味深く読むことができるのではないでしょうか。
『モーセの秘宝を追え!』
- 『モーセの秘宝を追え!』(ハワード・ブルム著 篠原慎訳/角川書店/税別819円/2002年8月25日初版発行/ISBN4-04-290801-2)
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ちょっと異色なタイトルをご紹介。題名を見てピンと来る方もいらっしゃるのでしょうが、なんと「聖書」のモーセ(昔はモーゼといってたような!?)の“出エジプト記”に関連するお宝を追いかけた書なのです。
え、フィクションも扱うの? いえいえ、決してフィクションではありません。聖書の記載を追って、実際にシナイ山を探検したノンフィクションなのです。しかも従来“通説”とされていたシナイ半島のシナイ山は間違いで、実はサウジアラビアにあるラウズ山こそ真のシナイ山である、という最近の研究を実証しようとしている。多くの真実から聖書の記載を裏付けていく手法は、著者が元ニューヨーク・タイムズ記者というストーリーテラーならでは。たまにはこういった書籍で頭のリフレッシュをしてはいかがでしょう。
『銭の考古学』
- 『銭の考古学』(鈴木公雄著/吉川弘文館/税別1700円/2002年5月1日発行 ISBN4-642-05540-1)
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日本全国各地で相次いで掘り出される“銭”、その“銭”に焦点を当てて考古学の見地から埋蔵金を調査した記録だ。皇朝十二銭や備蓄銭、そして埋葬に用いられた“六道銭”などから、貨幣流通史の復元や銭と人々との多様な歴史的関わりを鮮やかに解明してくれる。
考古学的な見方、手法、そして実績と、とても参考になる(はず)の一冊。埋蔵金研究に“学問”を導入することの重要性を理解させてくれる貴重な資料本でもある。
『すべてわかる戦国大名里見氏の歴史』
- 『すべてわかる戦国大名里見氏の歴史』(川名 登編/国書刊行会/税別2500円/2000年2月15日発行 ISBN4-336-04231-4)
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新刊ではありませんがちょっと気になる書籍を見つけてしまったのでご紹介。
それは里見氏の埋蔵金をテリトリーとしている方なら先刻ご存じなのでしょうが、とても便利な里見氏の歴史を中心としたデータ本といえるものが実は2000年2月に発行されていたのだ。編者の川名氏を中心に、執筆者は総勢14名。そして多くの個人、団体の資料協力により作られたまさに里見氏研究の基礎データ辞典となっている。
小松寺の埋蔵金伝説や、山之城城趾の埋蔵金伝説などにもちらっと触れられているが、そんなことより里見一族の歴史の再検証部分がとても興味深い。従来の“歴史”の間違いを次々と正してくれている。多くの方々により、それぞれの分野での研究によって新たな事実が次々と掘り起こされているのがよく分かる。この書を供に房総を散策するのも一興では。
『徳川埋蔵金検証事典』
- 『徳川埋蔵金検証事典』(川口素生著/新人物往来社/税別2500円/2001年1月15日初版第1刷 ISBN4-404-02897-0)
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徳川埋蔵金関係をテリトリーとしている方はぜひとも目を通して欲しい1冊が出版された。その名も「徳川埋蔵金検証事典」。徳川関連の書籍は特に多いが、そのほとんどが従来からの“通説”を元に実地調査したにすぎないレベルのものといえるだろう。で、この1冊をなぜすすめるかといえば、著者の川口氏は法政大学文学部の史学科卒という歴史研究家で、いわば歴史の“プロ”。資料をどのように掘り下げればいいか、に一番精通した“プロ”が徳川埋蔵金に挑んだのだ。
闇雲にシャベルを握るのもまたひとつのスタイルかも知れないが、それでは「宝探し」というレジャーにすぎない。そしてそれは往々にして一般の方々が思い描く典型的なスタイルで、実際は埋蔵金といえども“正統”な歴史の一部分である、という観点からは迷惑以外のなにものでもない。
面白半分で取り上げるTVなどのマスコミ報道も、またその轍を踏んでしまっているといえる。とまあそれはともかく、川口氏は戦前戦後、世に出た史料を再検証すると共に、最新の情報を追い求めて現地取材を行うことで、現状で考えられる徳川埋蔵金の全貌という研究成果にまとめ上げて発表してくれている。
全国四十数カ所といわれる徳川関連の埋蔵金の伝承・伝説を検証し、全体を「徳川三代の埋蔵金」「小栗上野介の埋蔵金」「彰義隊・榎本艦隊の埋蔵金と沈没船」の三部に分けて構成している。そのそれぞれに歴史の“プロ”としての検証を加え、信憑性などを客観的に評している。圧巻は巻末の「徳川埋蔵金関係年表」でさすがに歴史学者の面目躍如と行ったところだろう。
お見逃しなく。
『RIPTIDE 海賊オッカムの至宝』
- 『RIPTIDE 海賊オッカムの至宝』(ダグラス・プレストン&リンカーン・チャイルド著、宮脇孝雄訳/講談社/税別2300円/2000年7月28日第1刷発行)
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「アメリカ、メーン州の沖にひっそりと佇むノコギリ島の洞窟には、世界中を震え上がらせた海賊、<レッド・ネッド・オッカム>の遺した莫大な財宝が眠っている。時価20億ドル以上といわれる財宝への欲望に憑かれ、幾人もの宝探しがこの島を訪れたが、洞窟の奥から突如噴出する海水に阻まれ、その夢を散らしてきた。洞窟はいつしか<水地獄>と呼ばれ、恐れられた。
その<水地獄>に、今、最先端のテクノロジーとコンピューターで武装した専門家集団が挑む。暗号、罠、呪い、裏切り、原因不明の病.はたして宝物を手にすることはできるのか? 驚愕のラストまで物語は突っ走る……」(カバーのキャッチコピーより)。
フィクションである。本来ならフィクションは扱わない(しかもテリトリー外の海外モノ)のだが、“財宝”というものの意外性、暗号解読、歴史の裏を読む、等々参考にさせられる部分が多い。そしてなにより、冒険小説として一気に読ませてくれる内容の面白さで、取り上げてみた。
緻密な取材力、登場人物の人間くささ、そしてまさに臨場感あふれる視覚的描写力と小説としての出来の良さが光る1冊といえる。しかも最大のポイントは、物語に登場する「ノコギリ島」が、カナダ南東部のノヴァスコシア沖に実在する“宝島”、オーク島をモデルにしているというのだ。
「現代版の『宝島』、海外もテリトリーにされている方は、ぜひご一読を」とこのコーナーに協力いただいているK・K氏が言っておりました。
『埋蔵金の掘り当て方』
- 『埋蔵金の掘り当て方』(非日常研究会著/同文書院/1300円+税/1999年12月8日初版発行)
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同社からは、1998年の12月に『図解財宝発掘マニュアル』(時實雅信著/1300円+税)という書籍が発行されているが、この『埋蔵金の掘り当て方』は、それとはまたひと味違った「入門書」といえる。そもそも「入門って何?」といわれそうですが、これから始めようと言う方に対するガイドでしょうか。
著者は非日常研究会というもので、「ジャンボジェット機の飛ばし方」とか「ライオンの飼い方」など、ちょっとユニークな「非日常実用講座」というシリーズものの第18弾です。
したがって、先発の『図解財宝発掘マニュアル』がけっこう「まじめ」なガイドに徹していたのに対して、こちらはちょっと斜めに構えている部分あり、というところでしょうか。
それと、タイトルは『埋蔵金の掘り当て方』ですが、埋蔵金関連は224ページ中76ページ(しかもそのうち半分近くは沈船関係)で、その他は、「恐竜化石の掘り当て方」「古代遺跡の掘り当て方」「金鉱脈の掘り当て方」「油田の掘り当て方」「井戸・温泉の掘り当て方」「新星の見つけ方」となっている。
まあ、ここまで書けば内容は推して知るべしでしょう。ご参考までに。
『黄金結界 ~甲州埋蔵金の謎を解く~』
- 『黄金結界 ~甲州埋蔵金の謎を解く~』(加門七海著/河出書房新社/1700円+税/1999年12月2日初版発行)
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『覚書◎黄金地帯からの招待
埋蔵金伝説は、日本各地に存在している。
徳川の埋蔵金は言うに及ばす、武田や平家、旧日本軍の埋蔵金まで有名無名を合わせると、埋蔵金は日本の地下に満ち満ちていると言ってよい。しかし一方、埋蔵金を掘り当てたという話を、我々が聞かないことも確かだ。
埋蔵金伝説は、欲に目の眩んだ人々の妄想の結果なのであろうか。それともマルコ・ポーロの伝えたジパング、黄金郷の伝説に我々は振り回されているのか。
甲州の埋蔵金にかかわりを持ったきっかけは、あくまで仕事としてだった。
「TV番組制作プロダクションの者ですが、話を聞いて欲しいんです。具体的な内容は電話ではちょっと……」
怪しい電話に用心しつつ、待ち合わせ場所に出かけると、プロデューサーの本間氏は名刺を渡して切り出した。
「実は私達、山梨の埋蔵金にかかわっているんです。金を探している男性を取材で追いかけていましてね」
「山梨というと、武田の、ですか」
「いえ、違います。いいえ、まぁ、そうとも言えるのですけれど」
氏は微妙に口を濁した。
聞くと、彼らの追う人物が探しているのは、金を掘る仕事に従事していた「金山衆」が隠した黄金であるという。
この集団の発生年代は不明だが、金山衆という名称は戦国時代あたりから古文書などで確認されるようになってくる。主な仕事は名称どおり、金を始めとした鉱物採取とその精錬だ。また、穴を掘る技術に長けていた彼らは、(戦国時代の文献によると)堀を埋めたり井戸の水を抜いたりと、城攻めにも協力し、戦力としても活躍したとか。
しかし古の専業集団に共通して言えることだが、金山衆達が実際にどんな暮らしをし、どのような思想・テクニックを持っていたかなど、詳しい彼らの実態を窺い知ることは難しい。いわば、謎の集団なのだ。
そんな彼らの名称をいきなり本間氏から聞かされて、私はかなり面食らった。---』
河出書房新社のWebサイトに掲載されている新刊紹介記事の一部だ。
筆者は『人丸調伏令』で作家デビューし、『大江戸魔法陣』『東京魔法陣』など、風水ブームの先駆者として知られる。埋蔵金関連書の著者としては“異色”作家のデビューといえるが、緻密な取材活動に裏付けられた内容はさすが小説界で大注目作家だけのことあり。
この書は、TBS金曜テレビの星「封印された謎の黄金 幻の甲州金山」と連動したもので、映像という瞬間的に流れ去ってしまうメディアでは得られない価値がある。ご一読を。
『図解財宝発掘マニュアル』
- 『図解財宝発掘マニュアル』(時實雅信著/同文書院/1300円+税/1998年12月25日初版発行)
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タイトル通り埋蔵金を探してみたい、と思った方に向けたマニュアル。いよいよ、このテの本が出たか!の一冊。
今まで、埋蔵金というとなにやら胡散臭いイメージとしてとらえられることが多かったが、いよいよ、埋蔵金探しも「お宝探しゲーム」として一般化したのか、の感強し。ま、それはそれで嬉しかったりするのだが、逆に真剣に調査している方々が苦々しく思うのも事実なのでは。
それはともかく、内容はよく考えられていて、埋蔵金探しの捉え方から始まり、基本的な埋蔵金探しのABC、そして必要な装備、靴や日焼け止めなどまでカバーしているのは、さすが「埋蔵金入門者向け」のマニュアルならでは。
従来多かった「ここに埋蔵金が!」式のガイド部分はほとんど「参考までに」的でちょっと物足りないかもしれないが、それはまたこのコーナーで紹介しているような別の書籍を参考にすればよい。
とにかく埋蔵金入門に必要な最低限の知識を、これ一冊で理解できるようにした点がこの本の一番のウリなのだ。まさに“マニュアル”。
『豊臣秀吉の埋蔵金を掘る』
- 『豊臣秀吉の埋蔵金を掘る』(鈴木盛司著/新人物往来社/2400円+税)
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赤城と並ぶわが国有数の埋蔵金、豊臣秀吉の埋蔵金を追う筆者が、
「(--前略)数々の大発見が相次ぎ、考古学、ブーム、埋蔵金ブームのさなか、この地も各地より“黄金伝説最大の地”として注目を浴び始めている。『黄金伝説の郷』多田銀山は、運輸省が昭和五十九年(一九八四)に、金属産業遺跡として指定したことで、文化的存在や歴史的価値のお墨付きも得、脚光を浴びつつあるため、公的機関、報道関係各所からも問い合わせや、前記に関する歴史・資源・学術・文化・観光的な報道が急増することになった。
また、近年の開発ブームの激風に煽られて、この地方の自然・気候・風土・文化等に、すくなからず諸々の弊害が現れ始めたことや、遺跡壊疾を見るに忍びず、この保護や復興にわずかなりとも一役を担い、黄金伝説の夢とロマンの架け橋を人の心に繋ぎ続けることができたらと、もう袖手傍観もしておられず、浅学菲才、冷汗三斗の拙筆を執ることになった次第である。」(前文より)
とまあ、難しい話はおいといて、著者の鈴木氏はこの豊臣秀吉の埋蔵金を追って、実にかれこれ20年。でその一つの区切りとして発表したのが、この一冊なのだ。
前半が歴史的背景や“埋蔵秘図”などを分析した解析編。そしてそれをもとに実地調査を行った調査編、後半は核心の発掘作業を詳細に明かした発掘編、と三部構成になっており、特に最後の発掘編は、実際に多田銀山を踏破した貴重な記録として興味がもたれるところ。
ちょうど赤城の埋蔵金発掘にかけた水野智之氏の著作『赤城黄金追跡』に通ずる当事者ならではの、埋蔵金探索インサイドストーリーといえる内容となっている。
多田銀山をテリトリーとする方は必見!
『発掘された日本列島』
- 『発掘された日本列島』(文化庁編/朝日新聞社発行/1500円)
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1998年6月16日の東京国立博物館を皮切りに、岩手県立博物館、栃木県立博物館、福井県立博物館、倉吉博物館(鳥取)、大阪市立博物館、長崎県立博物館と開催される“発掘された日本列島'98--新発見考古速報展”に展示された出土品のデータを紹介する資料集。
といっても、B5版サイズで100ページを超し、カラーも充実した結構立派な資料となっている。(ちなみに価格は税込み1500円)
対象は古代から近世まで、まさにさまざまで、埋蔵金に関する部分はほんのわずか(それも古銭の発掘くらい)なのだが、わが国の“発掘調査”に関する現状を知る上で貴重な資料であることは確か。
埋蔵金関連の資料を探している方は、図書館で一見を。
『神奈川の古代道』
- 『神奈川の古代道』(藤沢市教育委員会/博物館建設準備担当編集)
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“博物館建設準備調査報告書”の第三集としてちょっと気になる書籍が'97年1月31日に発刊された。埋蔵金探求の初歩ともいえる資料を掘るための基本資料とも考えていただくといいだろう。範囲が神奈川県に限られてしまうのは致し方ないことだが、その分中身は相当に濃いと言っていい。
「神奈川県は、古代においては相模国と武蔵国の一部からなり、古東海道によって、郡や各地方と結ばれていました。今日、奈良の正倉院には片瀬から都に納められた布が伝わっていますが、それもこの道によって運ばれたものです。また、藤沢から遙か遠く九州へ赴く防人もいたことでしょう…」(序)
調査の体勢や実際にどのように調べられたかなど、興味あるパートから肝心の古代道の復原地図など江戸時代までほとんど変わらなかった交通網が詳細に検証されているのは非常に有り難い。
ちなみに復原部分は東京西南部、横浜、横須賀、八王子、藤沢、大磯、小田原など、当時重要なポイントが上げられている。
興味のある方は藤沢市教育委員会まで。
『幻の埋蔵金 佐々成政の生涯』
- 『幻の埋蔵金 佐々成政の生涯』(生駒忠一郎著/KTC中央出版/1500円)
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黒部の成政埋蔵金を追いかけている方に、ちょっと気になる新刊。成政の人となりを研究しつつ埋蔵金をからめた読み物が発刊された。以下、埋蔵金余話の一部を紹介しておくので、気になる方はご手配を。
『成政の埋蔵金伝説は、越中の各地に分散している。
もっとも有名なのが牛岳とも言われる鍬崎山(東礪波郡庄川町)である。秀吉が攻めてくる天正十三年(一五八五)、富山城の天守閣にあった百万両を侍大将の阿部義行に命じて埋めさせたというものだ。
鍬崎山(二〇八九メートル)は薬師岳の西方の独立峰で、富山平野から見ると牛の背のような形をしており、越中富士とも呼ばれる。有力な証拠とされているのが、麓の芦峅寺(中新川郡立山町)や本宮(大山町)に「朝日さす夕日輝く鍬崎に、七つむすびてむすび、黄金いっぱい光り輝く」という里謡が残されていることである。……』
本文中では当然ながら埋蔵金が主役というわけではなく、どちらかといえば成政の人物を描写するのに埋蔵金をからめた、と考えた方がいい。ちなみにあとがきには、
『庄内川べりの比良城に生まれた成政は、農氏出身の秀吉とは対照的に、近江源氏の佐々家を祖に誇り高く、勇猛、果敢で剛直、どんな苦境にもひるまぬ猛将に育った。
成政と秀吉の性格は、初めから水と油であった。生まれ育った環境の違い、また剛健で負けず嫌いな成政と、目先がきいてすばしっこい秀吉は、ことごとに考えが合わず、意地の張り合いで解け合えぬままに終わった。
誇り高い成政は、信長の死後、着実に勢力を伸ばしていく秀吉を素直に認め、仕えることができなかった。荒子城主の子として生まれた利家は、秀吉とうまく融和したが、成政にはそんな器用なことはできなかった。
成政が最期まで織田家復興を願っていたのに対し、秀吉は早くから天下をめざした。そうした生きる姿勢の基本的な違いも、二人を最後まで解け合わせなかった理由の一つであった。
成政は、前半生があまりにも栄光に包まれていただけに、後半の焦燥に満ちた不器用な斜陽の人生が、哀れと同情を誘って逆に人間味を感じさせる。
この作品を書くにあたり、あらためて清洲城、稲生ケ原、比良、井関城祉から生駒屋敷跡と歩いてみた。戦雲に天下への夢を追って、このあたりを駆けていた少年のころの信長や成政の足音が、今も聞こえるような気がした。……(一部略)』
『アメリカ黄金伝説』
- 『アメリカ黄金伝説』(エミル・C・シュールマカー著/秀英書房/1800円)
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アメリカ版「埋蔵金伝説」。といっても建国わずか200年ちょっとのアメリカのこと、“伝説”というより、“記録”といえるほど生々しく信憑性が高いストーリーばかり集めた注目の書籍だろう。
◇
「歴史学者、警察やその他の機関の推定では、アメリカ国内に埋められている財宝の総額は、西半球の海上で大航海時代から現在までに難破や火災、海賊の襲撃などで失われた財宝の総額を「数十億ドル」も上まわっているのだ。
海の底に沈んだ宝を探すとなれば、潜水用具などの装備のほか、専門の知識や技術も必要だし、さまざまな身の危険にさらされたり、途方もない困難とたたかわなければならない。それにくらべて、陸地に隠された宝の多くは、その気になれば誰にでも近づける場所に埋められている。
陸地の宝のほとんどは、たいした危険もなく、比較的安い費用で探すことができる。宝探しをする人々のなかには、週末になると車のトランクにシャベルを放りこんで、ドライブがてら宝のありそうな場所へ行って、地面を掘り返すという人もいる。
アメリカには、宝の隠し場所として世間によく知られたところがある。たとえば、テキサス州のテンブルの近くには、推定約二千万ドルという莫大な宝が埋められている。これは、カール・シュタインハイマーというドイッ系移民の万奴隷商人が、十頭のラバで金塊を運ぶ途中、インディアンの襲撃をおそれて埋めたものだ(第3章)。
………」
とまあこんな興味深い話が続く。本文は第15章まであり、巻末にはアメリカ国内の埋蔵金の場所を解説した付録まで付いている!
『日本の埋蔵金』
- 『日本の埋蔵金』(畠山清行/中公文庫/960円)
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我が国を代表する埋蔵金研究家、畠山清行氏。惜しくも1991年に亡くなられてしまったが、今でも氏の著書は一番信頼の置ける資料として一目も二目もおかれているのはご存じのとおり。すでに絶版の書籍が多いので各地の図書館等でしか見れないのが残念だったが、中公文庫がついに「日本の埋蔵金」を文庫本として復刊してくれた。この機会に是非とも手に入れておこう。
惜しむらくは、番町書房によって'73年に発刊された「日本の埋蔵金 上・下」全文ではなく、我が国の三大埋蔵金のみに集約されてしまっているのが何とも残念!
とにかく埋蔵金に興味があるなら必ず手に入れておくことをおすすめする。
『世界の難破船と財宝地図』
- 『世界の難破船と財宝地図』(ナイジェル・ピックフォード/山と渓谷社/3800円)
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いよいよ我が国でもこういう豪華本が出るようになったか!の感が強い一冊。
世界の難破船の歴史を縦糸に、財宝を横糸で紡いだ、という感じの「目で見て楽しむ」財宝探し。青銅器時代の難破船から第二次大戦の沈没船まで、歴史を追ってグラフィックを中心にきれいに表現している。アメリカなどに良くあるメカニズムをリアルなイラストで解説するシリーズの中の1冊という感じだ。
ま、海の中もテリトリーに含む方は要チェック。ちなみに私は足が大地に付いていないと不安なのと、値段が値段なので(資料性という観点では)手に入れておりません。
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